廃業記 〜取引先がヤクザ編23〜

前回の続き

 

精神科で診断を受けてから2,3日は薬を飲んで、寝るだけの日々を送っていた。処方された薬を飲むと、何も考えられなくなり、起きているのに仮眠をとっているような状態になる。そして、少しすると眠ってしまっていた。

 

しかも、一度寝ると10時間以上寝てしまっていた。

 

だが、しっかりと眠ることができたお陰で冷静さを取り戻すことができ、これからどうしていこうかを、落ち着いて考えることができるようになった。

 

就職をしよう。

 

僕は、そう決めた。結局、僕にとってはお金がない不安、生活が送れなくなるのではないかという不安を抱えながら日々過ごすことが一番辛い。

 

まずは、この不安を解消しよう。そう思えるようになったのだ。

 

僕は、眠気とだるさに包まれて、余り動かない身体を無理に動かし、転職活動を開始した。

廃業記 〜取引先がヤクザ編22〜

前回の続き

 

精神科に行くと、そこはなんだかゆったと時間が流れていた。

 

風俗さんと仕事をしてから、1日たりとも仕事のことを忘れたこともなければ、仕事をしなかった日もなく、緊張感と切迫感に苛まれていた。

 

そんな状態からふと解放された気がした。

 

精神科のイメージは映画でよくある精神病棟のようなものを想像していたが、実際はよくある病院の光景と変わらなかった。一見何ら変哲のない人がただただ呼ばれるのを待っているだけだった。

 

そこでぼけっとしながら待っていると、診療室に呼ばれた。

 

先生はサバサバした30代半ばくらいの女性で淡々と質問をしてきた。当たり前だが、終始会話だけで診療は終わった。

 

ただ少し話をしただけだが、随分とすっきりしたし、冷静になれた。それまで、余り性風俗系のサイトの制作していること人に話してこなかったので、なかなか愚痴も言えずに、自分の中に不満や不安を溜め込んできた。それが少し解消されたのかもしれない。

 

診断の結果は鬱病だと言われた。また、軽度の発達障害があるかもしれないとも言われた。さらに、しばらくは仕事から離れることをおすすめされたが、それは難しいので、取り敢えず薬を処方してもらって帰った。

 

正直、鬱病発達障害のことは、その当時よくわからなかったが、話をきいてもらえたことと、薬を使用することで、様々な不調から解放されると思い、久しぶりに晴れやかな気持ちになった。

 

 

 

 

廃業記 〜取引先がヤクザ編21〜

前回の続き

 

不審な男達の突撃訪問と悪徳弁護士からの電話があった翌日。周囲に気を付けながらこっそりとご飯を買いに行き、そそくさと家に帰っていった。

 

その日は、不審な男達と悪徳弁護士のことが頭から離れなかった。これからどうすればいいんだろう、どんな目に遭うのだろう、そんなことばかり考えてしまった。

 

そして、その日から徐々に体調に異変が起きてきた。

まず、酒を飲む量が増えた。缶ビール1杯くらいしか飲まなかったのに、ワインをデカンタで飲んだあと後、ストロングゼロを2杯飲むくらいになってしまった。

 

更に、生活が昼夜逆転になり、独り言も多くなった。

常に周囲の目を気にして、メールや電話が怖くなった。

 

そんな状態が1週間程続いた後、とうとう数字が読めなくなった。正確には、時計を見ても何時か理解できなくなったのだ。

 

しかし、すぐには自分の身体に異変が起きているとは思わなかった。だが、ある日電車の中で突然涙が流れてきた。

 

そして、精神科に行くことにした。

 

 

廃業記 〜取引先がヤクザ編20〜

前回の続き

 

風俗さんとケンカ別れした翌日、僕はネットでバイトの求人を探していた。この当時、既に仕事らしい仕事もなく、借金も増えまくっていたけど、再起を図ろうとはしていた。

 

だから、就職ではなく、バイトをしながら自営業を続けようと思ってた。

 

そんな中、突然ドアを叩く音がした。それも、結構強く叩いていた。

 

僕はびっくりして、応じることなく息を潜めていた。

その内、音が鳴り止んだので、インターホンを見てみた。

 

すると、そこには見知らぬ男が3人立っていた。少し小汚い格好をした、30~40代くらいの男達だ。男達はしばらくすると立ち去っていったので、一安心だったが、全く彼らには心当たりがなかったので、何が起きたのか、わけがわからなかった。

 

その後、しばらくしてから携帯が鳴った。見知らぬ番号からだった。さっきのこともあったので、出るの止めておいた。

 

すると、留守録が残っていたので、確認してみると、

 

「弁護士の○○です。風俗さんが、迷惑してます。電話に気付いたら折返し下さい。」

 

それを聞いて、全てが繋がった。風俗さんは前と同じように僕を脅して最後までやらせる気だ。恐らく、さっきの男たちも風俗さんと関係があるのだろう。

 

怖くなった。むちゃくちゃ怖くなった。変な男たちや弁護士を仕向けてくるなんて、僕はどんな目に会わられるのか延々と考えてしまった。

 

ボコボコにされるのだろうな、はたまた賠償金を支払わられるのだろうか。

 

僕はその日、とうとう家を出ることなく、一日中家に籠もっていた。外で男達に出くわすのが怖かったからだ。

廃業記 〜取引先がヤクザ編19〜

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後悔した。ものすごく後悔した。制作の仕事を再度引き受けたことを。

 

だが、やるしかない。そう自分に言い聞かせて、黙々と作業に取り組んだ。前に作ったサイトの色違いなので、2,3日で完成した。

 

そして、それを風俗さんに報告すると、追加で修正をお願いしたいと言ってきた。もちろん、断ったよね。

 

すると、

 

「あんた調子に乗ってんじゃないわよ。その気になれば、力ずくでどうにでもできるんだからね!」

 

と、どなってきたので、僕も、さっさと金を払えと怒鳴ってしまった。それを聞いた風俗さんは、何も言わずに電話を切った。

 

これで、風俗さんとの関係は終わったと感じた。お金を支払ってもらえなかったことは残念だったが、少しは奴隷くんの役に立てたと信じて諦めることにした。

 

悔しい気持ちもあるが、解放感の方が強かった。

もう、お金も全くないので、明日からバイト探しを始めよう。そう決めて、その日は、ビール飲んで寝た。

 

 

廃業記 〜取引先がヤクザ編18〜

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奴隷くんと話していると、風俗さんが戻ってきた。

 

すると、風俗さんが、新規店舗のホームページを制作してくれたら、踏み倒した分の制作費用も支払うと言ってきた。この手のお客さんは平気で嘘をつくので、その手には乗るまいと思っていた。

 

だが、奴隷くんのことが頭をよぎった。僕が断れば、この子はどうなるのだろうか?

 

もしかしたら、新規出店の話も一部は嘘かもしれない。実際に、奴隷くんが出店費用を支払うことはないのかもしれない。でも、もし本当だったら?僕がホームページを作ってあげなかったがために、借金まみれになってしまったら?

 

そんなことをグルグル考えてしまっていた。

 

そして、リニューアルしたサイトと全く同じ構成でよければということで、引き受けた。

 

あんなに痛い目を見たのに、また同じことを繰り返そうとしているのかと思うと、自分の頭の悪さ加減に本当に頭にきた。。。

 

 

 

 

廃業記 〜取引先がヤクザ編17〜

前回の続き

 

風俗さんが席を外している間、奴隷くんと少し話をした。

 

奴隷くんは、風俗さんのお店で働いていており、風俗さんに借金の肩代わりをしてもらっているんだとか。

そして、風俗さんが新店舗出店の話を聞き、やりたいと申し出て、今に至ると言っていた。

 

いつ、風俗さんが戻ってくるかもわからなかったので、深くは聞かなかったが、最後に、なぜこんな契約を引き受けたのかを聞いてみた。

 

すると、本人もこんなつもりではなかったと、でも、金もないし、ここを抜けたどうしてたらいいかもわからないので、風俗さんの要求はある程度呑まなければならないんだと、そう言っていた。

 

僕は、風俗さんの要求は断るつもりだったが、奴隷くんの話を聞いて、どうするべきか迷ったしまった。